持ち家や投資物件を貸す契約の流れ②
今回は「持ち家や投資物件を貸す契約の流れ①」の続きです。
7.入居資格要件の確認
入居資格要件とは、どんな人に住んでもらうかということを色々設定する、借主に対する条件のことです。
これは賃貸後の家賃滞納やその他のトラブルを回避し、円滑な賃貸経営をするためには不可欠な事項になりますのでしっかり考える必要があります。
一般的に設定する要件としては、「収入」「職業および勤務先」「勤務形態」「職歴」「収入」などが挙げられます。
その他、連帯保証人を必要とする場合は該当人物の有無が必要になります。
これらを設定した入居資格要件を確認し、「入居審査」を行って申込者に賃貸するかしないかを判断します。
入居審査は仲介を依頼している不動産会社・管理会社が代行する場合と貸主自身が行う場合があります。
不動産会社が代行する場合は、より明確に要件設定をしておいて貸主の意向を十分に共有しておく必要があります。
特に書類での記載内容からはわからない「人柄」については、見るべきポイントを事前に確認しておかなければなりません。
また、連帯保証人を立てる代わりに家賃保証会社を利用する場合は、家賃保証会社による入居審査も行われることになります。
万が一の滞納家賃を保証するわけですから、家賃保証会社の審査はより厳しい基準が設けられていると言われています。
最近は連帯保証人の有無関係なく、家賃保証会社の契約を必須とるすことも多くなっています。
8.借主に用意してもらう書類
賃貸借契約に際して借主に用意してもらう書類は、基本的に入居申込書に記載してもらった内容を証明するものになります。
具体的には「住民票」「収入証明書(源泉徴収票か納税証明書)」「本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)」「実印および印鑑証明書」「連帯保証人の住民票・印鑑証明書」などです。
9.賃貸借契約を締結するときのポイント
賃貸借契約の締結は、貸主が賃貸借契約書を発行し、貸主・借主双方がその内容に合意することで実行されます。
つまり、基本的に賃貸借契約書に記載された内容が賃貸借契約の全てと言えます。
契約書そのものは不動産会社が代行作成したものであっても、貸主はその内容を確実に理解・把握している必要があります。
特に金額設定や支払いに関わる事項、住戸の使用ルールに関する事項は、入居後のトラブル回避という点で重要ですので、曖昧な表現になっていないか必ず確認しましょう。
わからない部分があれば、これも都度確認しましょう。
また、規定の記載項目以外の取り決めは「特約」という形で記載します。
例えば、更新について、更新料やその他特別な決め事をする場合、中途解約についての取り決め、退去時・原状回復に関する事柄などです。
法令に抵触しない範囲内で貸主が任意で定めることができるものは、慎重に検討した上で特約に追加することをおススメします。
ただし、もう一方の契約当事者である借主の合意が得られなければ成立しないので、内容についてはよく考える必要があります。
明らかに借主に不利な内容については、たとえ契約時に借主が合意したとしても後に無効になる可能性があるので、そのこともきちんと理解しておきましょう。
10.契約の更新について
普通借家契約で契約期間が満了になると、次の契約期間を定めて貸主・借主の合意のもと更新手続きを行います。
これを「合意更新」と言います。
更新手続きを行わなくても契約を更新・継続することはできますが、その場合は「法定更新」となり、更新後の契約期間は定めのないものとなります。
法定更新では従前の契約と同一条件での契約更新となります。
通常は契約期間を定めて、期間満了ごとに合意更新を繰り返していく方がよいでしょう。
なぜなら、貸主側としては、契約の更新に合わせて家賃や管理費の見直しを行いたい場合や、その他契約条件についても変更したい場合が出てくるからです。
また、契約更新時に借主から「更新料」を徴収する場合もあります。
これが合意更新ではなく法定更新になってしまうと、法定更新後の契約期間は定めのないものとなり従前の契約内容がずっと続くことになるので、それ以降は更新料の徴収はできなくなります。
契約更新時の通知時期と内容については、借主との信頼関係に基づいて慎重に考えた方がいいでしょう。
このあたりのことは判断が難しいので、専門家業務として行っている不動産管理会社に相談するといいでしょう。
11.退去手続きについて
入居者から解約の連絡を受けたら退去の手続きを行います。
借主都合での解約の申し入れは、一般的に1~2ヶ月前に設定されることが多いです。この期日設定については、必ず契約内容に盛り込まれています。
あとは申し入れの方法をどうするか、解約通知書の提出を求めるのか、それに代わる手段にするのかも契約内容に明示しておきます。
借主から解約の申し入れがあったら、貸主はすぐにその手続きに入ります。
退去日から算出した日割り家賃について、退去日の予定確認、引越し作業後の住戸内の確認について、その後の原状回復のための敷金精算について等、明確に説明し退去時点でのトラブルの発生を予防しましょう。
精算などの連絡が後日になる場合は、移転先の住所、電話番号、メールアドレスなどを必ず聞いておきましょう。
もしも引越し後に入居者の残置物が住戸内外に残されていた場合、退去後であっても貸主が勝手に処分することはできません。
こうなると元入居者に残置物がある旨を連絡して、どうするかを確認した上で対応することとなり、労力も時間もかかります。
そうならないために、退去時に入居者所有の荷物がすべて運び出された後で、入居者立会いのもと現況確認を行うことが賢明でしょう。
引越し時に出たゴミの処分を含め、入居者に責任をもって退去の完了をしてもらうようにしましょう。
原状回復のための現況確認など、一般の貸主には判断が難しいものなので、やはり多くの場合は不動産管理会社の力を借りることになるでしょう。
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